2019年02月07日

哲人 中村天風

私は昔ある朝突然声が出なくなったことがある。
コーヒーをもう一杯頼もうとして「もう一杯」という言葉が出ない。「うっ」だけしか出ない。
3日後に北海道に行く予定があった。
そこで、野崎さんが私のことだから医者へ行けと言っても行かないだろうと思って友人である医者に連絡をしたらしい。

とぼけた顔をして、遊びに来たような振りをしてその友人の医者が訪ねてきた。
「どうした」と言いながら私の口の中を見た。最初は笑いながら見ていたが、 やがてだんだん険しい顔になってきた。
「先生どうですか?」と家内等が訊ねると、「こりゃ、癌だ、それも相当ひどい癌だ」と言う。
「90%助かる見込みがない、仮に治って命は助かっても、声は出ないだろう」と言われた。
有名な医者にこんな風に言われたら諸君ならどうだい。

私はその時側にあった紙に「入院はしない、北海道に行く」と書いた。
すると医者は「行ったら死ぬ」と書いた。私は「俺は耳が聞こえる」と書いてやった。
そうして北海道へ行った。北海道では会場に溢れんばかりの聴衆であった。
会の責任者が「天風先生は声が出ないので講演は出来ない」と説明をした。
すると「顔だけでも見せろ」と皆が騒いだ。

それを聞いて、そこまで言ってくれるならと胆をきめて演壇へ出て行った。
クンバハカ体制をしてから「諸君!」と叫んだところ、声と共に大きな血の固まりが喉から飛び出した。
後は、話しながら血がとめどなく出てきた。
聞いていた連中も「先生、もう結構ですからお休み下さい」とみんなで止めに入った。
私は「心配するな、出ているのは俺の血だ、お前の血ではない。どうせ死ぬまでは生きているのだ。
悪い血が出てしまえば、自然に止まる。」と言ってとうとう講演を最後までした。

中村天風 講演の一部より  


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2019年02月07日

2月7日の記事


人生の幸福は困難に出会うことが少ないとか 
全くないとかいうことにあるのではなく、

むしろあらゆる困難と闘って、 
輝かしい勝利を収めることにある。

 哲学者 カール・ヒルティ



2月7日雨、姿見えず。 2月6日日没時の画像




苦境に立って万事休した時には
できることがあればそれをやる。

できることがなければあとは忘れるだけだ。
私は未来に対して決して心配しない。

未来にどんなことが起きるかを予想できる人などいないからだ。
未来に影響を及ぼす力は実にたくさんある。
        
それらの力を動かすものが何であるか 誰も知らないし、
その力自体も理解できないのに どうして悩むのだ。

        
 クライスラーコーポレーション K.T ケラー  


Posted by asone at 07:47Comments(0)