2019年02月12日

日本の弓術より

本日の鳥海山は姿を見せず!


※大正15年東北大学に赴任してきたドイツ人オイゲンへリゲル先生の本から

■ 日本の弓術:岩浪文庫 オイゲン・へリゲル述 より 

阿波はいつでも、呼吸を整えること 丹田に力を入れることをやかましく言った。(阿波師範:仙台の弓道の師)

ある日などは円の上に立って弓を引いている人形を描き人形の臍下と円の中心とを結びつけ、
この人形すなわちヘリゲル君は丹田に力を入れて無我の境地に入り、宇宙と一体となるべき
ものであると説明した。

しかしヘリゲルは呼吸は肺でするもの丹田(へそ下)にもって行けといわれても生理的に
無理ではないかと反論する。

ヘリゲルはなにより、的を狙わずに当てるということが、理解も習得もできないと阿波のもとへ申し出る。
阿波は承服しようとしないからだといい、夜あらためて家に来るように言いヘリゲルに奇跡を見せる。

夜、阿波の家にある道場にヘリゲルを呼び、阿波は細い1本の蚊取り線香に火をつけ的の前の砂に立てた
暗い中目印にするためのものだ。しかし的は見えない。
阿波は2本の矢を執った。

1本目の矢が射られた。発止という音で、命中したことがわかった。
2本目の矢も音を立てて打ち込まれた。

・・・・ヘリゲルは的を確認しに行き その的を見て仰天する。・・・・・

1本目の矢は見事に的の真ん中に立ち、2本目の矢は1本目の矢の筈にあたって、それを二つに割いていた。
阿波はヘリゲルに言った。

「それでもまだあなたは狙わずにはあてられぬと言い張れるか」


  


Posted by asone at 17:03Comments(0)