2019年04月19日

「Stay hungry. Stay foolish. 」 2005年スティーブ・ジョブズのスピーチ・その一







アイフォンやアイパッドいまやなくてはならないツールを創り上げた偉大な創業者のメッセージの一部です。
彼がいなければアニメーション制作のピクサーも存在しなかったでしょう。

アップルコンピュータ 創業者スティーブ・ジョブス
スタンフォード大学卒業式での祝辞 2005年


ありがとう。世界有数の最高学府を卒業される皆さんと、本日こうして晴れの門出に同席でき大変光栄です。
実を言うと私は大学を出たことがないので、これが今までで最も大学卒業に近い経験ということになります。
本日は皆さんに私自身の人生から得たストーリーを3つ紹介します。それだけです。どうってことないですよね、たった3つです。

私はリード大学を半年でドロップアウトしましたが、実際に退学するまでの間18ヶ月間ほどは大学に居残っていました。
なぜドロップアウトしてしまったのでしょうか?

話は私が生まれる前に遡ります。私の生みの母親は若い未婚の大学院生だったため、私を養子に出すことにしました。
彼女は、私が大卒者の家庭で育てられるべきだと強く考え、弁護士の夫婦と養子縁組の手配を整えていました。
しかし実際に私が生まれた最後の土壇場で、彼らは女の子が欲しいということになってしまったのです。
そこで夜遅くに、養子縁組待ちのリストにあった両親のところに電話が行きました。「予定外の男の赤ちゃんが生まれました。
養子縁組を希望しますか?」両親は答えました。「もちろん」と。その後、母が大卒ではなく、父は高卒ですらないということを知って
生みの母親は養子縁組の最終書類への署名を拒否しました。彼女が折れたのは数ヶ月後です。

両親が、私を大学に行かせると約束したからでした。これが、私の人生の始まりです。


17年後、私は確かに大学に入学しました。しかし私は、さしたる考えもなしに、
スタンフォード並みに学費の高いカレッジを選んでしまいました。
労働者階級だった両親の貯蓄はすべて大学の学費に消えていってしまいます。
6ヶ月後、私はそこに価値を見出せなくなっていました。私は、自分が人生において何をしたいのか、
それを見つけるために大学が何の役に立つのか、まったく分かりませんでした。にもかかわらず自分がここにいることで、
両親は生涯かけて貯めた金を残らず使い果たそうとしています。だから私は退学すると決めました。これですべてうまくいくと信じていました。
もちろん、そのときはたいへん恐ろしい思いをしました。しかしふり返ってみると、あれは私の人生で最良の決断の1つだったといえます(笑)。
ドロップアウトしたそのときから、私は興味を持てない必修科目はやめて、それよりはるかに面白そうな科目に出ることができたからです。

もちろん、すべてがいい話というわけではありません。寮の部屋もありませんでしたから、夜は友人の部屋の床で寝て、
コークの瓶を店に返すともらえる5セントを集めて食べ物を買ったりしました。毎週日曜の夜は、7マイル歩いて街を抜け、
ハーレ・クリシュナ寺院に行っておいしいご飯にありつきました。あれは大好きでしたね。
そんなふうに、自分の興味と直感に従って動き回っているうちに出会ったものの多くが、
後からみればこの上なく価値のあるものだったのです。例をひとつ挙げてみましょう。

リード大学は、カリグラフィ教育において、おそらく当時国内最高水準でした。
キャンパス中どこでも、ポスターやら戸棚のひとつひとつに貼るラベルなど、すべてが美しい手書きのカリグラフィで飾られていました。
私はもうドロップアウトしていて普通の授業には出なくていいわけですから、カリグラフィのクラスに出て、
そのやり方を学んでみようと思ったのです。セリフとサンセリフの書体、さまざまな字の組み合わせに応じて文字間隔を調整する手法や、
美しい字体は何が美しいのかなどを学びました。それは美しく、歴史があり、科学ではとらえられない繊細な芸術性をもった世界です。
私は夢中になりました。

もちろん当時は、これがいずれ何かの役に立つとは考えもしなかった。ところが10年後、最初のマッキントッシュを設計していたとき、カリグラフの知識が急によみがえってきたのです。そして、その知識をすべて、マックに注ぎ込みました。美しいフォントを持つ最初のコンピューターの誕生です。もし大学であの講義がなかったら、マックには多様なフォントや字間調整機能も入っていなかったでしょう。ウィンドウズはマックをコピーしただけなので、パソコンにこうした機能が盛り込まれることもなかったでしょう。もし私が退学を決心していなかったら、あのカリグラフの講義に潜り込むことはなかったし、パソコンが現在のようなすばらしいフォントを備えることもなかった。もちろん、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、いまふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。

繰り返しますが、先を読んで点と点をつなぐことはできません。

後からふり返って初めてできるわけです。
したがってあなた方は、点と点が将来どこかでつながると信じなければなりません。

自分の勇気、運命、人生、カルマ、何でもいいから、信じなくてはなりません。
点がやがてつながると信じることで、たとえそれが皆の通る道からはずれても、自分の心に従う自信が生まれます。

これが大きなちがいをもたらしてくれるのです。
  


Posted by asone at 18:44Comments(0)