2019年06月30日

6月30日の鳥海山・中村天風の教え・「神経反射の調節法」


うっすらと雪化粧?かも6月30日の鳥海山:


これから教えるのは「神経反射の調節」さえすればいいんだから、目的が自ずから違いますから、難しい理論は本に書いてあるから本を見て、ここでは方法だけをおそわりなさい。

 それはね、感情や感覚に衝撃刺激が来たなら、いきなり驚いたり、怒ったりすることを止めようとしたってだめだから、それはそれとして置いといて、先ずとりあえず、一番初めにやらなくてはならないものは、肛門をキューと締めちゃうこと。気がつくたんびに、きっとあなたがたはお尻の穴が開いているってことを経験しますよ。まぁ見えない所だからいいと思っているだろうけど、お尻の穴というものは、本当は開いていてはいけないもんなんです。

「いや締まっています」と言っても、それは自然の括約筋で締まっているだけで、特別に自分の意識的な緊張はしていないじゃないかな。そうして、肛門を締めると同時に、臍下丹田いわゆるヘソを中心としたお腹にグッと力を入れる。このグッと力を入れるのは、全生命の肉体の重心を、安定せしめるためなんだ。それと同時に、肩の力をヒョイと緩めちゃう。肩が上がっていると横隔膜が上がり、神経反射を完全に消滅できない。横隔膜をグッと安定せしめて、全生命の重心を臍下丹田に押し付け、肛門を締める。

 最初の間は、なにはともあれ、何時でも肛門が締まっている自分になり得るように、折りあるごとに、時あるごとに、肛門を締める努力をしなさい。歩く時でも、座って立ち上がる時でも、座る時でも、肛門を締めといて、いや、もっと厳密なことを言えば、「えへん」と咳払いする時も締め、「おぃ」と言う時も締めて、「はい」と返事するときも締めて、だんだんそれを練習していくうちにひょいと気がつくのは、本当に尻の穴というものは、今まで知らなかったけれども、いつも開いているな~と気がつく。

 これはね~、尻の穴を開けといても、急激に突発的な変化がなにも起こらないから、その必要を感じなかったかも知れないけど、これがインドのような猛獣や毒蛇の多い所に行きますと、尻の穴が開いているとすぐにやられてしまう。だから、犬があなたがたに吠えついたりしたら、尻の穴を締めてジ~と犬の顔をみていたら吠えるのをやめてしまうから。人間の目には映らないけど、ああいう動物というものは、人間のもたない感応というものが非常に鋭敏なんです。だから動物の目には、肛門が締まっていると体から出すオーラが違うんです。オーラとはフランス語で「見えない光」でして、その見えない光が動物には見える。視覚神経に映るのであります。だから、肛門を締めてジーと見つめている者には吠えたりしない。私が虎のオリの中に紋付袴のままで入って、大きな虎と一緒に写真を撮ったり、 鶏が私の前でパッとすれば動けなくなるでしょう。これはみな、自然に私の体からオーラが出ているからなんですよ。ですから、どんな場合だって、私の肛門は生理要求のある以外は開いてなどいません。

 人間は万物の霊長だもん、誰でもそのように成れますよ。私だけでなく、あなたがたも成れるのです。だから、あなたがたもそのように、体の方を何時でもなれるように習慣ずけ、何時も肛門の締まった人間になるようにしないといけません。肛門さえ締めておけば、あとの腹に力を入れ、肩を落とすなんて、わけないことです。それを普段なんにもしないでもって、いざお尻だ、腹だ、肩だと言っても間に合いません。

 実行しないで聞き放しでは、何時までたっても上達しません。実行せずに理屈だけ聞いても上手くなれません。おまけに、これはいちいち隣のおばさんや、おじさんに頼む必要もないんだ。己の現在もちうる体でできるんだもん。一番練習しやすいですよ。これをやっていると、ただ単に神経反射の調節法ができるばかりでなく、神経の生活機能を旺盛にし、内蔵の全ての調子もよくなり、息切れなんてものはなくなってくる。

 とにかく、わずかな方法でもって、それが自分のものになってしまうと、自分でもこれが自分の命かいなと思うほど幸福を感じますから。やさしい方法だろ、わけない方法だろ、理屈は今は厳密に知らなくていいから、まず実行しなさい。

 中村天風 講話より


公益財団法人天風会 庄内の集い にて学ぶことができます。
ご興味のある方はブログオーナーまでお問い合わせください。
  


Posted by asone at 16:52Comments(0)