2021年12月19日
「父・藤沢周平との暮し」より
「お父さん、なんでコマーシャルに出ないの。テレビに出れば顔覚えてもらえるのに」
すると、父は不服そうな顔の私にこう言ったのです。
「展子、よく聞きなさい。仕事というものはどんな仕事でも本業をまっとうすることは大変なことなんだよ
本業以外の仕事で収入を得ようとすれば、必ず本業がおろそかになる。
お父さんは、そういうのはあまり好きじゃないな。作家はものを書くのが仕事なんだから」
自慢するな、見栄を張るな、が口癖で。
生き方も決して器用でなかった父のことです、本業に専念するというのは、いかにも父らしいと
納得したものでした。
庄内の人と風土については、雪が大変影響している。
雪は人を我慢強くする。
雪を我慢しなければ春は来ない。
そういうことで、地道にものを見つめる堅実的な考え方が育つのではないだろうか、
雪はそういうことを教えてくれる。
「父・藤沢周平との暮し」 遠藤展子 新潮社 より
鶴岡市にある藤沢周平記念館に行くと
市長からの名誉市民の要請を辞退した時の手紙が展示されています。
まるで藤沢周平の小説の中の主人公のような、古き良き「庄内人」だなぁ!
Posted by asone at 20:08│Comments(0)